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愛犬家西郷隆盛 隠れ温泉郷に飼犬13頭の像を建立 [人物]

 鹿児島県指宿市は、幕末維新の英雄西郷隆盛が下野後静養した鰻温泉地区に飼い犬13頭の石像を設置すると発表した。

 今更ながら西郷隆盛の犬好きは、上野の銅像からも多くの人が知るところであろう。(注1)

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『愛犬家』

 孫に当る元法務大臣西郷吉之助は、生涯を通じて祖父は私欲のない人物であったが、唯一犬好きに関してだけは人並であったとしている。その可愛がり様は格別で、折角の猟犬に豚肉を与えすぎて太らせてしまい犬の世話人を困らせたとか。

 また、田舎に兎猟りに出かけた際、よい犬が見つかると礼を尽くして譲って欲しいと懇願したそうだ。氏は上野の銅像が愛犬を連れた姿であることに祖父はこの上ない満足であろうと回顧している。

 西郷の身近にいた犬はそれこそ5頭や10頭ではない。なかでも征韓論に敗れ鹿児島に帰った明治六年末に飼い始めた川辺産の猛犬はゴジャと名付けられ、洋服を着た来客にやたらと吠え掛った。その様子を見た西郷さんは攘夷家と愛称し可愛がったという。

 維新の頃、京に連れていたのは寅という犬。当時の祇園新地名妓君竜は、「木戸はんや山県はんや伊藤はんやお歴々のお方が、折り折りおいでやして、若い芸子はんをよんで夜更けまでお賑やかでしたよ。しかし、西郷はんだけは、犬を引っ張って昼間いつもお出でやして、犬さんとご一緒に鰻食を召しあがればすぐにお帰りになりやした。西郷はんのようなお方が、ほんまに粋の中の粋を知ったお方と申すのやろ(後略)」と話している。

 一方、明治新政府の基礎が少しづつ出来上がるにつれ、高官たちの贅沢三昧や不正が始まり掛けた頃、突如西郷さんにも妾を二人抱えたというゴシップが持ち上がった。これみよがしに若い軍人数人が連れ立って日本橋小綱町の宅に真相を確かめに来た。

 「先生は最近美婦を入れられたとかの話ですが、もし本当なら面謁の栄を得たいものです」

 西郷さんは哄笑一番、「うん、二人抱えたよ」

 そこへ従僕が2頭の猟犬を庭先に引いてきた。どちらもメスであったということだ。

 西郷と犬にまつわる話はどうも明治になってからのものがほとんどのようである。考えてみれば、幕末維新の頃にはとても犬などに構ってる時間など無かったと思われる。東奔西走する必要もなくなり余裕が出来たとか、体調管理のために狩猟するようになったとか、説はあるようだがともかく西郷が犬を溺愛するようになったのは明治になってからといって間違いないだろう。

 「犬を驕り雲を衝いて萬山を度る 豪然長嘯す斷厳の間 請ふ看よ世上人心の険なること 渉歴す山路の艱よりも艱なるを」、「兎を驅り林を穿ちて苦辛を忘る 平生食を分ちて犬能く馴る 昔時田獵三義あり 道ふなかれ荒鈍第一の人と」など愛犬と共に兎猟をした時の心境を綴った詩も数首ある。西郷さんにしてみれば、世俗を離れて犬と狩りをしている時が如何に充実していたかが詩からも伝わってくる。

 記事の13頭の石像の由来について、明治六年の政変後下野した西郷は、その年の暮を揖宿郡山川郷成川村鰻の湯(現鹿児島県指宿市山川成川)福村市左衛門方で静養していた。そこでは毎日のように従僕熊吉と13頭の犬を連れ兎猟に出かけていたと伝わる。何せ13頭もいたから餌も大変で、西郷さん自らが山川町まで魚を買い出しに行っていたそうだ。(注2)

 明治十年に起きた西南戦争に、西郷さんは愛犬2頭を連れて行きます。しかし、政府軍に追いつめられ、死を覚悟した同年八月十六日、日向長井村児玉熊四朗宅(現宮崎県延岡市北川町長井)で2頭を離したと伝わっています。残念ながら2頭の名前は現在も不明だが、狩猟犬ゆえ無事鹿児島に帰り着いたと思われている。(3)

 発表された石像の完成は、平成30年度NHK大河ドラマ「西郷どん」放送前になる予定である。

注1 上野の銅像の犬は薩摩犬のツンである。実際のツンはメスだったが、銅像はオスだ。これは海軍の要人仁礼景範のオスの飼犬をモデルに後藤貞行が制作したからである。ツンは東郷町藤川の前田善兵衛の犬であった。西郷が一目で気に入り譲ってほしいと頼んだが善兵衛は一度は断ったという。諦めきれない西郷さんは土地の有力者を動かしツンを手に入れたそうだ。しかし、ツンも主のもとを去るのが嫌だったようで狩りの最中に二度も逃亡している。現在薩摩川内市東郷町藤川天神境内には中村晋也氏制作の「西郷どんのツン」像が建立されている。

注2 鰻の湯で静養していた時、佐賀の乱で逃亡中であった江藤新平が訪ねてきている。二日に掛けての談判も物別れに終わり江藤は土佐へ去った後、捕縛された。

注3 西郷さんは戦のため熊本へ進発する前に、城下麓高城の福徳家に愛犬を預けていったという古老の逸話が残ってます。帰らぬ主人を待ちながら生涯を終えた犬たちは現存する「西郷どんの犬の墓」で今も安らかに眠っている。

*この記事は『西郷どんの隠れ郷に犬13匹の石像 「犬好きの聖地」なるか!?』 西日本新聞2017年6月8日号をもとに書かれたものである。

*参考文献 『大西郷全集』、『翔ぶが如く』司馬遼太郎、『日当山温泉南洲逸話』三島亨著 藤浪三千尋編、歴史読本昭和52年4月号

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*記事の無断転載は厳禁とします

*画像を追加しました (2017.7.13)


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