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南北戦争チャールストン港の戦い ワグナー砦で戦死したショー大佐の剣が発見される [史実]

 米国南北戦争において、1863年7月18日フォートワグナー攻略中に戦死した第54マサチューセッツ歩兵連隊の指揮官ロバート・グールド・ショー大佐の剣が子孫宅の屋根裏から発見され、マサチューセッツ歴史博物館に寄贈された。

 1861年早々、米国民の視線はサウスカロライナ州チャールストン港の三つの砦、ピンクニ―城、ムールトリ―砦、サムター砦に注がれていた。前年に黒人奴隷開放を掲げるリンカーンが大統領に就任した直後連邦を離脱したサウスカロライナ州の中で、この三砦だけが連邦の守備隊が守っていたからである。

 前年12月、ムールトリ―砦守備隊長ロバート・アンダーソン少佐は防衛に不利なことを鑑み自己判断で隊をサムター砦に移動した。これに対して、サウスカロライナ住民は、ブキャナン前大統領の公約である現状維持を破る行為だとし対決姿勢を明確にした。(1)

 新大統領リンカーンは食料が底を尽きかけたサムター砦に救援を派遣するも、南部連合軍はアンダーソンに降伏勧告を行った。流血を避けるつもりであったアンダーソンは降伏の期日を明言したが、1861年4月12日4時30分ジョンソン砦からの一発の砲弾が、米国史上最大の内戦の幕を落としてしまった。

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『1863年9月時点でのチャールストン港地図 a:ワグナー砦 b:グレッグ砲台 c:サムター砦 d:ジョンソン砦 e:ムールトリ―砦 f:ピンクニ―城(地図外)』

 上記したようにサウスカロライナは連邦を最初に離脱した州であり、そのチャールストン港は開戦の切欠を作った場所だったため、戦争を通じて特別な意味合いを持っていた。

 北軍はチャールストン攻略のため、1862年6月から翌年の9月にかけて三度の大規模な作戦を敢行している。一度目は、ジョンソン砦南西の街セセッションヴィルを足掛かりにジョンソン砦を奪取しようとしたが、街を起点とした南軍の塹壕に阻まれ多くの犠牲を出してしまった。

 二度目は63年4月7日、海軍の装甲艦と蒸気船による艦隊が港へ突入を試みたが、南軍はそれまでに艦船の航路を読み切っていたため、一方的に砲撃を喰らい作戦は放棄された。

 そして、三度目がワグナー砦南の海岸線から進攻する作戦であった。これは1990年に日本で公開された映画「グローリー」のクライマックスで描かれている。マシュー・ブロデリックがロバート・グールド・ショー大佐を演じ、戦死する第二次ワグナー砦攻略作戦までを描いた作品である。

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ロバート・グールド・ショー大佐と彼を演じたマシュー・ブロデリック
 

 ショー大佐は生前多くの手紙を書き残したが、それらが現在もハーバード大学に保管されており、映画の原作もそれを元に書かれ、作品中には幾度も自らの心情を吐露した家族への手紙を書き送るシーンを見る事が出来る。

 あくまで個人的な感想であるが、この映画「グローリー」はハリウッド製作にしては珍しく史実に忠実な作品ではないかと思えた。ショー大佐が率いた第54マサチューセッツ歩兵連隊は士官以外が全員黒人という新編成の部隊であった。それまで組織的戦闘経験のない黒人兵士を一つにまとめ上げる大佐の苦労なども、残された書簡から構成されている幾つかのシークエンスは全くのフィクションだとは思えなかった。また、ラストシーンでは史実同様に戦死した大佐が兵士らの共同墓に埋葬されるシーンも実に淡々としたものであった。(2)

 北軍は最終的に、ワグナー砦の南軍を撤退させることに成功したが、チャールストンを占拠するまでには至らなかった。南軍はその後シャーマン将軍が内陸の鉄道を遮断させる1864年までの一年チャールストンを死守している。

(1)アンダーソン少佐は、南部出身で奴隷保有者でもあったが、合衆国士官としての使命を全うした。

(2)劇中には別部隊の黒人兵が街を焼き払うシーンが出てくる。繰り返しになるが、サウスカロライナは北軍兵士たちにとって戦争を引き起こした責任があると見なされていた。そのため、州都であるコロンビアはアトランタやサヴァンナ以上に傍若無人に扱われ、北軍の消火隊が火を消すや火災を起こす兵士が後を絶たなかったという。

参考文献 「南北戦争」グレイグ・L・シモンズ、「アメリカ黒人の歴史」上杉 忍

*この記事はGigazine 2017年7月27日『「南北戦争の剣における聖杯」と言うほど貴重な「失われた剣」が発見される』をもとに書かれたものである

*記事と画像の無断転載は厳禁とします


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